留学を終えて。振り返りと総括。
前回の帰国記事から早2か月。ずっと書こうと思っていた振り返りの記事。やっと重い腰を上げて書くことにしました。
何から書こうかなという感じですが、まずは留学までの道のり、そして留学中の出来事を大まかに書き留めたいと思います。
留学準備から留学後までの振り返り
大学入学後
大学に入学してからは勉強面での苦労が多く、理系学生として、自分の武器は何かを考えることが多くありました。大学内において理系的に優秀なわけではないし、人材としての自分の価値は何かと。
また、大学の教授の多くは海外大学留学経験があり、授業中にその魅力を説いてくれました。
そこで、自分も留学して、単なる理系学生ではない、付加価値を持った理系学生になろうと考えるようになりました。
つまり、留学を考えるきっかけは教授たちの言葉、そしてそれを行動に移そうと思ったのは、日々感じる劣等感からでした。
ただ交換留学について調べると、準備が面倒くさそうだし難しそう。。
それでも幸いなことに、僕の周りには意欲的な学生が多く、留学を一緒に目指す仲間も見つかり、お互いに情報交換をしながらモチベーションを高め合うことができました。
大学1年秋
英語の授業で教授から教えてもらった春休みの短期留学プログラム。
それまでは交換留学について調べていてはいたのですが、具体的な準備ができずにいました。そこで、この短期留学プログラムに参加して、交換留学準備のいいきっかけになればいいと思い、参加することに。
その留学プログラムの参加要件は緩く、特に特別な勉強をする必要もないことから倍率が2倍弱あったみたいですが、なんとか選考に通り、短期留学に行けることに。
3週間のプログラムなのですが、そこで交換留学の意思確認と英語力向上ができればいいなというのがメインの目的でした。
短期留学(大学1年春休み)
シドニー大学での短期留学。実はこの留学まで海外に行ったことはなく、初めての海外が飛行機で10時間のオーストラリアということで、純粋にわくわくしていました。
大学のプログラムなので、基本的には同じ大学の人たち20人での団体行動になります。夜の羽田空港に集合して、不安と楽しみの両方をもって出発。
現地ではシドニー大学でCross Cultural CommunicationやGlobal Leadershipについて学びました。最初の1週間は20人でゲストハウスに泊まり、残りの2週間は二人一組でホームステイをしました。また、空き時間も多く、たくさん観光することもできました。
授業中は発言を求められる機会が多かったのですが、当てられなければ発言することができず、縮こまってしまいました。
ただ、ホームステイではホストマザーが優しいおばあちゃんで、拙い英語を一生懸命理解しようとしてくれ、そこで英語を使ったコミュニケーションをとる機会が得られました。
また、基本的にはルール違反である一人旅にも出かけ、店員さんとのコミュニケーションを積極的にとるようにしました。
でもやっぱり自分の英語力が低く、意思疎通がうまくいかないことが多々ありました。想定内ではあったものの、今までの英語の勉強はなんだったのか、という感じでした。
その留学を通して、自分の英語力のレベルを知ることができたのはもちろん大きかったのですが、それ以上に一緒に留学した仲間とたくさん話せたことがいい経験になりました。
僕は理系1年生だったわけですが、その留学に参加している人はほとんどが文系、そして2年から4年が大半でした。
留学までは理系学生としか話す機会がなかったので、そこでの交流は自分の知らない価値観を知るいい機会になりました。また、就活を終えた学生も多く参加していたため、将来を考えるいいきっかけにもなりました。
そして、この留学を通じて交換留学を目指す意思も固まり、帰国後は英語の勉強に力が入りました。
大学2年春学期
あんまり覚えてないけどとーーっても忙しかった気がする。交換留学の願書は秋に提出なので夏休み中にTOEFLのスコアを取得しないといけないし、留学を見越して単位もたくさんとっておかないといけないし。バイトをしてお金もためておきたいし。
それでも留学を目指す仲間も増えていって、お互いに鼓舞し合ってなんとかモチベーションを保つことができました。
最初目指してた大学は要件が厳しくて志願できそうになかったので、要件が低く、やりたいことが学べそうなスウェーデンのウプサラ大学を目指すことにしました。
そして夏休みに入ってすぐTOEFLのスコアもとることができたので、あとは志望理由書を書くだけ。
これは日本語と英語で書かなければならないのですが、それこそこういうブログを読み漁ってどうやって書けばいいのかを調べまくりました。理系で交換留学をする人は少ないので、何よりも情報収集に苦労しました。
英語の授業でお世話になっていた教授に添削などもしてもらい、期限に余裕を持って提出することができました。
大学2年秋学期
そして、提出の1か月後に1次選考の合格が通知されました。まずは第1関門突破。
あとは数週間後に迫る2次選考、面接です。大学によっては英語で面接されたり、圧迫面接をされることもあるので、いろいろ調べてたくさん準備しました。
放課後に友人と空いている教室で面接練習をしたり、面接会場となる他キャンパスに行って実際にその部屋で練習してイメージトレーニングしたり。笑
今思えばこれ以上ないくらい準備してたし、いい思い出です。
そして面接当日。1週間以上前から緊張しまくっていたので、この日の緊張度合いは異次元でした。
それでもいざ面接が始まるとしっかりと自分の気持ちを伝えることができ、手ごたえがありました。
友人も手ごたえがあったみたいで、あとは合格発表を待つだけです。
数週間後に合格の通知が!うれしすぎてその日にIKEA(スウェーデン発祥)にお出かけしました笑
合格したらあとはいろいろな手続きの山。オリエンテーションで一緒にウプサラ大学に留学する、大学1の子、大学2の子、大学3の子に出会いました。
彼女たちの第1印象はもはや覚えてないけど、そのときはここまで仲良くなれるとは思ってもいなかったな~。
大学3年春学期
留学に行く前の最後の期間ということで、授業をたくさんとったり、研究室を見学しに行ったりと、いろいろ忙しかったです。また、このブログを開設したのもこの時期です。
飛行機は往復で買いたかったので、7月に入ってようやく買うことができたのですが、テスト期間の最終日はさすがにテストは入らないだろうと思ってその日のチケットを買ったらまさかの試験日。。しかもその科目は行きたい研究室の教授の授業。笑
仕方なくチケットを取り直しました。
留学出発
2年間くらい準備してきた留学が遂に開始です。
このときはコロナのコの字もなかったし、まさか途中で帰国することになるとは想像もしてなかったな~(泣)
到着してから何日かは生活用品を揃えるために毎日のように自転車で30分かけてIKEAに行ってましたね、そういえば。
今振り返ると最初の1か月は短いようで長い、不思議な感じでした。
今でも忘れないのは、中古で買った自転車に空気を入れすぎて道中でパンクさせてしまったこと。それ以前にも突然雨に降られたりと疲れていたので、随分とショックだったのを覚えています笑
そしてもう一つ忘れてはならないのが、僕の寮の共有の冷蔵庫がめちゃくちゃ臭かったこと。キッチンも虫だらけで、海外の洗礼を受けた気分でした。
夏休み期間のスウェーデン語の授業
スウェーデンに着いてからすぐ、スウェーデン語のインテンシブコースが始まりました。平日の午前中3時間、毎日授業があり、時差の影響もあって毎日5時とかに起きてた気がします。
振り返るとこの期間が一番規則正しく、勉強的には充実した日々を過ごしていました。
友人ができるか心配だったのですが、インド人の頼れる友人もでき、一緒にスウェーデン語の授業を受けたり、サッカーをしたりしました。
まぁこの友人とも、スウェーデン語の授業以来ほとんど会わなくなったのですが。。。
大学1の子、2の子、3の子、到着
僕が着いてから3週間ほどして、皆もスウェーデンに到着。この日の夜はみんなで食べて、翌日はイケアに行ったりしました。
イケアに皆で自転車で向かってたら雨が降ってきて、大学3の子が死にそうになってたのは懐かしすぎます笑
写真をたくさん載せたいところだけど、とんでもない重さになっちゃいそうだから過去の記事を見ていただけたらなと。
そして数週間は結構頻繁に会って、お互いに助け合ったり、談笑したりして、とっても楽しい時間を過ごしていました。魔女の宅急便の舞台、ゴットランドにも行きましたね。
交換留学前期
授業が本格的に始まったものの、どの授業もしっくりくるものがなく、日照時間が短いのも相まって、この時期は悶々としていました。
もともと交友関係が広いタイプではないので、なかなかコミュニティを開拓することもできず、何のために本当に毎日生活するだけ、といった感じでした。
でもこの期間に授業を切りまくって旅行にたくさん行けたのは、結果としてすごい良かったなと思います。その旅行を通して、ヨーロッパという括りでしか見ていなかった国々を、一つの国として認識することができました。
また、旅行中はホステルに泊まっていたため、見ず知らずの人とコミュニケーションをとったりして、文化の違いに触れることができました。
あ、そうそう、授業を切りまくってはいたものの、しっかりとテストで点取ってぎりぎり単位は取れましたよ。しかも僕の学科の教授が優しくて、日本の大学で互換するときにいい評定に変えてくれました笑
なかなか前期はコリドーメイトと積極的にコミュニケーションをとることができなかったのですが、11月末にフランス人のコリドーメイトの誕生日パーティーがあって、そこですごい仲良くなれたのはうれしかったです。
そのあとはクリスマスにシークレットサンタをして、前期で帰っちゃう子ともいい時間を過ごすことができました。
交換留学後期
長い自主冬休みを終え、1月からは新学期ということで、コリドーメイトも半分くらい入れ替わりました。
前期の反省をふまえ、後期は心機一転、コリドーメイトとコミュニケーションを積極的にとることを目標にしました。また、授業も当初予定していたものではなく、純粋に興味深いと思ったものに変えました。
新しく来たコリドーメイトとともにピザを食べに行ったり、一緒にカードゲームをしたり、「これがイメージしていた留学生活だ!」っていうほど充実した日々を過ごすことができていました。まぁ途中からは授業にはいかなくなり、ひたすらコリドーに滞在していたりしたのですが、それはそれでコミュニケーションをとる機会ができたので良かったです。
だからコリドーメイトからは究極の暇人と思われていたでしょうね。
その頃からかな、中国でどうやらコロナウイルスというのが流行っているぞと。スウェーデンではまったく気にすることはなく、中国人のコリドーメイトだけが過剰に気にしてるって感じでした。
そして大学の友人とイスタンブールに行ったときにアジア人だからか「コロナコロナ」と言われたのは衝撃でしたね。差別する意味で言ったかは知りませんが、人種差別ってこういうことかって思いました。いい勉強になりました。
それでも留学生活は絶好調で、仲良くなったイギリス人のコリドーメイト二人とクラブに行ったり、寿司を食べに行ったり。
ギリシャ人とのコリドーメイトとは共有スペースでコーヒー片手にたくさん話したり。本当に充実した日々を過ごすことができていました。
3月に入ってからですかね、一気にコロナのことが騒がれはじめ、まずアメリカ人のコリドーメイトが急に帰国することになりました。
それでもまだ大丈夫だろうという感じの雰囲気が他のコリドーメイトにはありました。
そこからはもう凄いスピードで事態が変化していきました。週単位ではなく日単位。毎日のように「明日帰ることになった」「3日後に帰国する」といった人がいて、最も仲良くしたイギリス人のコリドーメイトも帰国することになりました。これがもうショックすぎて、精神的に参ってしまいました。
そしてそのイギリス人が3月16日の朝に寮を出ていきました。その時点では僕も帰国することになるとは思っていなかったのですが、その数時間後に外務省の感染症危険情報レベルが引き上げられ、帰国することになりました。
僕の帰国が決まってからも何人も帰国することが決まり、残ったコリドーメイトと毎晩残りの日々を惜しみながら飲んで語らっていました。この期間はとてもつらかったけど、それと同時にコリドーメイトと凄い一体感も生まれていました。
そして僕も帰国。予定よりも3か月帰ることになりました。
帰りはドイツのミュンヘンで乗りついたのですが、空港はガラガラで、コロナウイルスの影響を実感しました。ミュンヘンから羽田への便も空席ばかりで、搭乗率は30%くらいでした。
帰国後は2週間の自主隔離期間。自宅でから一歩も出ずに時差を直さないまま生活していました。帰国前から精神的な疲労でずっと食欲がなかったのですが、1週間してやっと戻ってきて、無事コロナウイルスにかかることなく自主隔離期間を終えました。
そして今、今回の交換留学の総括を書きたいと思います。
総括
留学で何を得たか。
一番は多様な価値観を知り、実感することができたこと。
これは具体的にどういうことか言語化するのが難しいけど、ある物を測定するための装置が増えた感じ。
それによって今までと同じ判断をするにも、その理由がより具体的に持てるようになったと思います。
特に、"Sustainability"(持続可能性)ということを意識する機会が増えました。これはスウェーデンならではという感じですが、今までは人間中心に考えてきたのが、人間と地球という観点も考えられるようになりました。持続可能性というのは日本の学校でも習ってきたことですが、生活を通して実感することで、自分の中に落とし込むことができました。
自分を知れたこと。
留学中もそうですが、留学準備期間も含めて、自分の将来を考える機会が多くありました。その中で、自分の意思決定の根底にあるものに気付いたり、強み・弱みを知ることができました。
留学中は大学1の子、2の子、3の子と深い話をして、その会話を通じて気付けたことも多くありました。彼女たちとの会話は本当に貴重な経験になったなと思います。留学中に僕が内向的になっているときも色々誘ってくれたりして、とにかく感謝です。
他にも、英語力や忍耐力など、挙げればきりはありませんが、上に書いた2つのことが最も大きな成果だと思います。
たった2つのことですが、これにより、留学前よりは人として深みを持つことができたのかなと思っています。
人によっては「留学は誰にでも勧めるわけではない」という人もいますが、僕は少しでも留学を考えている人には「行くしかない!」と言いたいと思います。
留学によって、人として全方位的に得られることが多くありました。留学中に後悔することはあるかもしれませんが、留学後には行って良かったと心底思えると思います。
最後に
このブログの「ウプサラ日記」はこの記事で最後になります。
拙い文章かつ誤字脱字が多く、読みにくい文章ではあったと思いますが、付き合っていただきありがとうございました。
留学中はこのブログを書くことで、自己反省をすることができました。
最後に、留学準備を支えて下さった方々、家族、大学1の子、大学2の子、大学3の子、同じ学科で交換留学を共に志した友人に感謝の意を表して終わりたいと思います。
Tack så mycket!
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